ご来場いただき、ありがとうございます!
ご挨拶
本日は「立花雅和Liveリサイタル」にご来場、またご視聴いただき、誠にありがとうございます。
普段はYouTube Live Concertで演奏を視聴いただいている皆様へ、直接音楽を届けるという企画を、ついに実施することができました。
YouTube Live Concertは、今回でちょうど100回目を迎えます。
この配信を始めた当初は、皆様にここまで長く応援し続けていただけるとは、正直思いもしませんでした。毎週本番が近くなるたびに、今日こそは誰も聴きにこないのではないか、と不安に苛まれながら準備を進めていたことを今でも覚えています。
しかし、いざコンサートが始まれば毎回多くの方々が視聴に訪れていただきました。
コロナ禍において演奏の機会や場所を失い、先の見通しが全く立たなくなってしまっていた自分に、それがどれだけ支えになっていたか、計り知れません。
恥を偲んでいうと、コロナ前まで僕は、音楽家をはじめとする表現者、パフォーマーはファンの方々がいてこそ成り立つという、考えてみれば当たり前のことすらできていなかったのです。
また、コンサートをオンライン上で行う、ましてそれを継続して定期的に配信するといった文化は、コロナ禍になるまではこの世には存在しませんでした。
このような新しい試みを、ファンの方々は柔軟に受け入れていただいたことも忘れてはなりません。
今回のリサイタルでも、これまでには無いコンサートの形式(オンラインと観客の皆様との同時コミュニケーション、ペーパーレス、現金レス)を盛り込んでいます。
こういった僕の新しい挑戦を温かく見守り、あるいは楽しんでいただける方々をファンに持つことができて、本当に幸せです。
今回は、これまで支えて頂いたファンの皆様へ、改めて感謝の気持ちを込めて演奏したいと思います。
短い時間ではございますが、ぜひ最後までお楽しみください!
立花雅和
YouTubeのコメントを見ながらご覧いただけます!
会場にお越しの方でも、下記の配信ページをYouTubeアプリで配信をご覧いただくと、コメントを見ることができます。
Googleアカウントでログインしていればコメントを書き込むこともできますので、会場にいながら演奏者とコミュニケーションを取る、という楽しみ方もできます!
プログラム
E.エルガー ロマンス e-moll op.1
「愛のあいさつ」などで知られる作曲家エルガー(1857〜1934)の、初期の作品。元々はヴァイオリンとピアノという編成で演奏されます。
フルートはロマン派時代の作品が少ないという事情があるのですが、こういったアレンジを通してロマン派作品に触れ、味わうことができます。
叙情的で印象深い前奏から始まり、人の内面の深い情動を描き出そうとするメロディが展開されていきます。
「ロマンス」という題名の付いた作品は、他の作曲家も多く書かれていますが、そのどれもがあたかも人(あるいは作曲者本人)の一生を物語るかのような曲想をしています。
この曲の旋律を、人生になぞらえて聞いてみるとより楽しめるかも知れません。
P.ゴーベール ファンタジー
ゴーベール(1879〜1941)は、フルーティスト、作曲家、指揮者として活躍し、近代フランスの重要な音楽家の一人として知られています。
フランス近代の作品は、目くるめくハーモニーの美しい変化が魅力ですが、その大胆な和声の使い方が曲に幻想的な雰囲気を与えています。
同じ「ファンタジー」のタイトルを持つ作品でフォーレの曲が有名ですが、ゴーベールはそのフォーレから連なる、フランス近代の作曲家達が模索した新たな和声法による手法を受け継ぎ、さらに発展させています。
ちなみにこういったフランス近代のフルート作品は、パリのコンセルヴァトワールの試験曲として作曲された物が多く、当時の学生達に求められたレベルも押しはかることができます。
フォーレの「ファンタジー」よりもずっと旋律が複雑で音符の数も多く、明らかに難易度はアップしています。当時から学生達はこんな作品をバリバリ吹いてたのか、と興味深いところもあり、戦慄するところでもあります・・・。
G.P.テレマン 無伴奏フルートのための12のファンタジーより第1番
テレマン(1681〜1767)はバロック時代を代表するドイツの作曲家で、また非常に多くの作品を残した多作家としても知られます。
テレマンが活躍していた当時のフルートは、現代使われているベーム式フルートよりもずっと簡素な横笛(フルート・トラヴェルソ)でした。
その素朴な音色でこの曲を演奏するのも素敵ですが、現代のフルートでも作品の魅力を十分に引き出すことができるのは、この作品の完成度の高さからでしょう。
この曲は、YouTube Live Concertの記念すべき第1回に演奏した作品でもあります。
W.A.モーツァルト ロンド(ハフナー・セレナーデ KV250より)
セレナード第7番ニ長調K.250は、モーツァルト(1756〜1791)が1776年に作曲した管弦楽用のセレナードで、「ハフナー・セレナーデ」とも呼ばれます。
ハフナー・セレナーデは全8楽章からなる管弦楽曲ですが、ヴァイオリンの名手で作曲家のクライスラーが、第4楽章の「ロンド」をヴァイオリンとピアノの作品にアレンジしたことで知られています。
技巧的な作品ですが、軽快で明るい旋律を、フルートの音色でお楽しみください。
9月のハッピーバースデー
YouTube Live Concertの人気企画です!
毎月の最後の配信で、その月が誕生日の方のお名前を読み上げて、ハッピーバースデーを演奏してお祝いするというものです。
今回は9月生まれの方をお祝いいたします🎂
ご自身はもちろん、ご家族やご友人、知人、ペットもOKです。本名ではなくハンドルネーム(あだ名)でも大丈夫ですので、お祝いしたい9月生まれの方がいらっしゃいましたら、チャットでお名前をお送りください!
僕は公演中もMCの際にチャットを確認していますので、直前でも間に合うかもしれません👍
F.プーランク フルートのためのソナタ
プーランク(1899〜1963)は、20世紀のフランス音楽を代表する作曲家の一人です。
このフルートソナタ全3楽章から成り、彼の作品の傑作の一つとして知られ、現在の演奏会等においても特に人気が高い演目となっています。
作品の構想をさらに練るため、フルートの巨匠ランパルからの助言を得て完成させ、また初演もランパルとプーランクによって行われ、大成功を収めました。
プーランクとランパルによる録音が残っており、僕も大好きな演奏の一つです。
ランパルは経験を重ねた円熟期の演奏は良く耳にされますが、若年期の音色はまさに神がかった魅力があります。それを味わうことができるという意味でも、貴重な記録です。
第1楽章 Allegretto malinconico
第1楽章の表題であるマリンコーニコ(メランコリック)はいわゆる日本語の 「憂鬱」とは異なり、絶望や陰鬱な性質は無く、フランス映画やシャンソンのような軽やかさが現れています。
冒頭の印象的なアルペジオと、明確な調性で一気に駆け上がる音階を交互に繰り返すテーマをモチーフに、ジャズなどの様々な要素を含ませながら曲を展開していきます。
第2楽章 Cantilena
「歌」を意味する表題を持つ、美しい旋律の緩徐楽章。
プーランクは器楽曲のみならず、歌曲にも傑作を多く残していますが、心に切々と訴える悲しみを沸き起こすイメージは、当時の情勢(2度の世界大戦)に決して無関係ではないでしょう。
ランパルとの初演では、アンコールとして第2楽章を再演し、大喝采を受けたことでも有名です。
第3楽章 Presto giocoso
一転して陽気で活発な曲想になります。
目まぐるしく変わる和声、調性、アーティキュレーションがそれを一層引き立てます。
中間部ではいっとき抒情的になり、第2楽章の主題が顔を覗かせ回想しますが、再び快活さを取り戻し、一気にフィナーレへなだれ込みます。
出演者プロフィール
立花雅和 Masakazu Tachibana(フルート)
北海道教育大学札幌校芸術文化課程音楽コース、及びパリ・エコールノルマル音楽院卒業。
現在フリーのフルート奏者としてリサイタル、室内楽、オーケストラ等の音楽活動を行う。Web上での発信も積極的に行い、ブログ、及びYouTubeチャンネル「立花雅和フルートアカデミー」にてレッスンや曲解説等を数多く投稿。
YouTubeチャンネル登録者数は1.6万人(2022年9月現在)に上る。
同チャンネルで金曜日に定期ライブ配信している「Flute Live Concert」では、毎回1時間程度の生演奏を披露。自宅から気軽に演奏会を楽しめると好評を博している。対面レッスンの他、オンラインレッスンでも後進の指導に当たる。
令和元年度札幌市民芸術祭奨励賞受賞。日本フルート協会代議員、札幌フルート協会常任理事。
小杉恵 Megumi Kosugi(ピアノ)
岩内町出身。北海道教育大学札幌校芸術文化課程音楽コース卒業。
札幌市民芸術祭新人音楽会に出演し、札幌市民芸術祭大賞を受賞。
ハイメスコンクール第2位受賞。同校卒業後、ハンガリー国立リスト音楽院にて研鑽を積む。
現在札幌大谷大学、札幌藤女子大学、札幌国際大学にて非常勤講師を務める。